神の見えざる手
「欲しい人に渡らない」ってホント?
「私はこの商品に1万円出します」
「俺は11000円だ」
「じゃあ2万円出します」
「…ほ、欲しい人に渡らないじゃないか!転売屋のせいだ!」

は?

おかしいですよね。10000円で売れるものを500円で売ってたら誰だって買うでしょう。買って売りますよ。子供でもわかります。

でも転売を嫌う人たちはそれが理解できない。

定価で売れとか言うよね。なんで間に入った人が利益取ったらいけないのか。
「転売屋のせいで値上がりした」のウソ

最近ツイッターで転売屋を叩いて気持ちよくなってる人の中にこんなたとえ話をする人がいたよ。


これに「頭がいい」とか「しっくりくる」とか絶賛のコメントがついててうわあ…ってなったね。

例え話はいくらでも自分に都合よく解釈できますからね。自分が気持ちよくなる話は「しっくりくる」んでしょう。

せっかくなのでこの例え話に乗って差し上げましょう。まず、水道はインフラですよね。それを買い占めることが法的にできるのかどうか。

君たちはフィギュアやDVDがなかったら死んじゃうのかい?

次に、川の水をすべてせき止めるための設備投資、かかるコストは果たして回収できるのかどうか。簡単にダムを作るって例えてますけど現実的な例えではありませんよね。

そりゃあ、川の水全部買い占めて1リットル1億円で売れるならそうするよ。できるならね。

任天堂のゲーム機なんかがよく例に挙げられてますが、あれを全部買い占めるなんてそれこそ大企業でもない限りできないでしょう。できたとしても一台100万円で売れるかって言うとそんなことはない。

そこで出てくるのが市場の原理ですよ。
転売屋>欲しい人なら値下がりする

どんなに買い占めに成功しても、転売屋が好きな値段で売ることができるとは限りません。その値段では買えない!と言われたらそこまでです。

実際には定価以下でも買うの渋ってるでしょ〜?プレミア値段になってから定価で買いたいって喚いてるだけでしょ〜?

転売屋がどんなに買い占めたところで、価格を決めているのは実は買う方です。皆が買わなければ価格は下る。下がり始めれば転売屋は慌てて在庫を処分する。更に値下げ合戦は加速していきます。

そんな商品、押し入れの奥でめっちゃ眠ってるよ。

1万円で買いますっていう人と、9000円じゃないと買わないっていう人なら前者が買い、後者は買えません。それだけのことですよ。

でもなんだか、転売屋が買ってる商品はものすごく上がってるように見えるよね。

逆ですね。転売屋は毎日何千というアイテムの価格を調査し、研究しています。すでに人気があり値上がりの兆候があるから確保したのです。値段を上げているのは市場の需要なのです。
海外では転売することでオリジナルの価値は上がっていく

ちなみに海外、特にアメリカのスポーツ界では、サインなどを転売することは全然悪ではありません。

そうなの?

マナーとして、転売するときには値段を上げること。そうでないと選手の価値が下がって見えてしまいますから。

ま、まあ転売される方もプライドもあるわな。

そのかわりエージェントが厳しく取り締まってるので、迂闊に街中でサインに応じたりできないんですよ。安売りになっちゃうから。

それはそれで痛し痒しだなあ…。
理屈で勝てないから感情で訴える人たち
お金が目的の人に邪魔をされたという感情
私は欲しいから買いに行った。
でも売り切れてて買えなかった。
あの人は転売目的で買えた。
あの人はズルい!転売は悪だ!

自分が買えなかったら他人は悪になるのか。

理由なんか関係ないんですよ。人気商品は競争になるに決まってるんですから。

日本ではお金を儲けることは悪いことだって思い込まされてるんだよ。だから自分用に買う人は転売用の人より偉いって話になっちゃう。

感情の面では「横取りされた」っていう意識になってるんでしょう。理屈でわかっていても感情が追いつかない。

野生に生きていた頃、人間も動物と同じく瞬時に判断する必要があった。なのでわかりやすい話のほうが気持ちいいように遺伝子にプログラミングされている。

だから最後に人は感情で判断するのです。

関係していない人が儲けるのが許せないという感情

例えば同人誌の転売。同人誌は本来著作権に触れているところを、暗黙の了解で作っている二次創作が多いですよね。

だから転売は良くないっていう人いるじゃん。おおっぴらにしちゃ駄目っていう。

その理屈だと同人誌を作ることのほうが罪深いだろ!!原罪じゃないか!!

すると今度は「作るのが大変だったのに」という。印刷代や、毎日原稿を書くことのコストが掛かっているのに!という。

苦労して作ったもので転売屋が儲かるのは駄目だという。

なんで?苦労したら特別扱いされるの?

描いていない人は部外者だから、部外者がお金を儲けるのは嫌だということでしょう。

すると次には「作品に対する愛がない」とか言い出す。

お前はイイ歳こいて愛の為に生きてるのか?日常生活で「愛」を理由に相手を説得できたことが一度でもあるか?

この条件では御社との取引はできかねますね。

そこをなんとか!愛があるんで!

わかりました!契約しましょう!

ってならないよ!!
そもそも市場とは道徳的なものではない

砂漠と東京では水の値段が違う

ここにコップ一杯の水があります。

両手いっぱいの愛をくれよ。

これを1000円で買えって言ったら買いますか?

バカにしてんのか!買うわけ無いだろ!

でも砂漠でのどが渇いて死にそうだったら?今すぐ飲まないと死んでしまう状態なら?

それは仕方ないじゃん。

そこなんですよ。人によって環境は違います。地理的、時間的な制約は人それぞれ。

その差を埋める事ができるならそれはビジネスとして成り立つんです。

で、それを言うと「じゃあ定価で売れよ」って言うんだよね…。
買えない人のために届けてあげてるなんて嘘だ

よく転売屋が「買えない人のために届けてやったんだ」っていうじゃん。それを批判されるじゃん。あれ、ホント?

嘘ですよ。金のためです。

ちょっとは言い訳しようよ…。

お金のためにやっています。それのどこが悪いんでしょうか。あなたはお金のために働いているのではありませんか?それとも人々のために無償で働きますか?

しょーもない言い訳をするから揚げ足を取られるのであって、お金のためにやってますって堂々と言えばいいんですよ。それがなにか?

まあ、わざわざ公言することではないけどね…。

金のためにやってます、それが買えない人の利便性も担保しています、だから手間賃とってます。それでいいじゃないですか。

そもそも市場の原理は道徳で動いているのではありません。損得で動いているのです。誰だってそうする。俺だってそうする。

形兆の兄貴…。

転売屋を潰すのは簡単だ

とまあいくら説明しても転売屋憎しで固まってる人には響かないんでしょう。

そりゃそうだ。議論の末に考えを変えましたなんて奴を見たことないよ。

そこで、転売屋を絶対に潰せる方法を伝授いたします。

いいのかいフグ田くんそんなこと言って…。

転売屋が買いきれないくらい大量に作るんです。そして在庫を大量に抱えればいい。需要を大幅に供給が上回れば必ず値下がりします。

言うと思ったー!!

あのさあ…そんな当たり前体操をしたいわけじゃないんだよ。伊勢丹の紙袋かよ。

どうしても転売屋を殺したいならそうすればいいだけのこと。

なんで赤字にならなきゃいかんのだ。

在庫を抱えるのが嫌なら需要より少ない供給数にするしかない。転売屋が嫌なら需要よりたくさん供給するしかない。どちらかですよ。

上手くいかないなあ…。
参考「擁護できないものを擁護する」
リバタリアニズムって何?

参考になる本を紹介しますね。
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これはコロンビア大学の経済学者、ウォルター・ブロックの著書「擁護できないものを擁護する」を経済学者で作家の橘玲先生が意訳したものです。

意訳?翻訳じゃなくて?

アメリカと日本では法律そのものが違うので、日本で言うならこう、という創作がなされています。しかし置き換えても全く遜色なく書かれているのが面白いところ。

この本の趣旨は、世間一般で嫌われ悪とされている人を敢えて擁護することでリバタリアニズムという政治的イデオロギーの解説をすることにあります。

宇宙から来たゾンビみたいなやつ。

バタリアンではなく。自由意志を尊重する考えで、自由至上主義なんて言われますね。

俺のものは俺のもの…。

ですが、お前のものを俺のものにしようとするのは暴力であり、反対の立場をとっています。

転売屋にも当てはまると思いませんか?

買ったものをどうするかは「自由」。

それを規制しようとする動きは、たとえ国家が介入したとしても「暴力」です。

また頭のおかしなのが出てきたぞ。

とまあこういったオモシロ視点から、世間で悪とされているものの見方を変えてしまう本です。

転売屋は悪だ!で終わりにしないためにも、一度読んでみることをおすすめします。読み物としても十分楽しめますし。

あの…この本さあ、ドラッグの売人とか擁護してんだけど…。

わかってもらう必要はない。転売屋は愛されない。

とまあ、いろいろ書きましたけどね、結局どんなに説明したってわかってもらえるわけがないんですよ。

説得されてハイわかりましたってヤツはいないよね。

別にわかって貰う必要もないんです。他人に許しを請うてやるような仕事なんてないわけですから。

しかしこれだけは言えます。「転売屋は一般人の百倍勉強している」

そして利益の奪い合いはより勉強している人が絶対勝つ。当然といえば当然です。

正義の味方が勝つとは限らないのがこの世の常だよね…。

そもそものスタートが利益を追求している人と、正義を振りかざしている人ではわかりあえないのは当然でしょう。

決して支持されないことを行うから、お金になるのです。感謝されたいだけならお金でもばらまけばいい。
金銭はあらゆる不平等を平等にする
(ドストエフスキー))

刺される時は私はまっさきに逃げるからね!